- 2026年上半期前半には軟調だった無煙炭市場は、鉱山の操業停止、物流リスク、供給可能量の減少が発生したことで、価格が次第に上昇基調へと転じました。
- 鉱山の生産量、安全検査、海上輸送運賃の動向が供給コストを左右しました。一方、期間後半に輸入が増加したことで、地域的な供給逼迫が緩和されました。
- 製鉄、フェロアロイ、産業用燃料分野からの需要は不均一に推移し、アジアの鉄鋼生産活動の活発化が欧州の消費低迷を部分的に相殺しました。
アジア
2026年上半期前半のアジアの無煙炭市場は、鉱山からの供給が十分であったことや、産業分野の調達が慎重だったことから、低調に推移しました。しかし、第2四半期には、山西省で発生した大規模な鉱山事故を受けて安全検査や一時的な操業停止が実施され、国内供給が逼迫したため、買い手による在庫確保の動きが強まりました。6月にかけて鉱山の操業が再開され、輸入も増加したことで、供給面の圧力は緩和されました。中国の石炭輸入は5月に大幅に増加し、モンゴルからの出荷量も大きく増加したことで、地域全体の供給状況が改善しました。中国は1月から4月にかけてモンゴル産石炭を2,642万トン輸入し、前年同期比で68%増加しました。これにより、長期的な供給不足の回避につながりました。インドでは鉄鋼生産の拡大が進み、高炭素燃料や還元剤用途向けの需要が支えられたため、市場は比較的堅調に推移しました。インドの粗鋼生産量は5月に1,421万トンに達し、鉄鋼メーカーやフェロアロイメーカーによる調達活動が活発に維持されました。
欧州
欧州の無煙炭市場は第1四半期に下押し圧力を受けましたが、その後、輸入供給の価格上昇と物流面の不確実性の高まりを背景に回復しました。同地域は海上輸送による供給への依存度が高いため、買い手は運賃やエネルギーコストの変動にさらされました。また、地政学的な混乱により、代替調達にかかるコストへの懸念も高まりました。一方、鉄鋼、自動車、建設分野の活動が低迷していたため、需要は引き続き抑制されました。EUの粗鋼生産量は4月に前年同月比1.8%減少し、高炉やその他の冶金用途における消費を抑制しました。電気炉の導入拡大も、一部の炭素集約型原材料に対する構造的な需要を減少させており、供給懸念が持続的かつ大幅な価格上昇につながることを妨げました。
北米
北米の無煙炭市場は、2026年上半期前半には比較的安定していましたが、国内の鉄鋼生産活動と輸出需要の改善を受けて、その後は上昇基調となりました。輸出を重視する供給業者は、特にインドを中心とした海外からの継続的な需要の恩恵を受けました。また、輸送費や燃料費の上昇も価格を下支えしました。北米の粗鋼生産量は4月に前年同月比6.9%増加し、冶金分野や産業用途の需要を押し上げました。新たな採掘能力の拡大と国内供給の改善により、長期的な供給逼迫は抑制され、買い手による積極的な在庫積み増しは限定的となりました。
アナリストの見解
Procurement Resourceによると、無煙炭価格は今後も底堅く推移する一方、変動性も続くと予想されます。各地域の市場動向は、鉱山の稼働率、鉄鋼生産量、海上貿易の流れによって左右される見通しです。